東北地方には、都会の喧騒から離れた山間に個性豊かな秘湯が点在しています。標高800m〜1,000mに位置する温泉地が多く、真夏でも平均気温が25度前後と涼しいため、避暑と温泉を同時に楽しめるのが最大の魅力でしょう。実際に夏の乳頭温泉郷を訪れると、ブナの原生林を抜ける風が心地よく、都内との体感温度差は10度近くにもなります。
秋田・山形・青森・福島の4県にまたがる代表的な秘湯を、泉質・アクセス・宿泊料金・周辺観光の情報とともにお届けします。
- 乳頭温泉郷(秋田)の湯めぐりと鶴の湯の予約方法
- 銀山温泉(山形)の大正ロマン町並みと宿泊料金の目安
- 蔵王温泉大露天風呂の2026年夏の営業情報
- 酸ヶ湯温泉(青森)と高湯温泉(福島)の泉質比較
- 東北秘湯めぐりのモデルコースと交通手段
乳頭温泉郷(秋田県)7つの湯をめぐる秘湯体験
乳頭温泉郷は十和田八幡平国立公園の南端、標高約800mに位置する7軒の温泉宿の総称です。ブナの原生林に囲まれた渓谷沿いに点在しており、各宿がそれぞれ異なる泉質を持つのが大きな特徴。宿泊者限定の「湯めぐり帖」(1,800円)を購入すれば、7つの湯すべてをめぐることができます。
鶴の湯温泉(宿泊料金11,700円〜24,350円)
鶴の湯温泉は乳頭温泉郷で最も古い歴史を持ち、江戸時代には秋田藩主・佐竹義隆公の湯治場として利用されていた由緒ある宿です。足元から乳白色の湯が湧き出す混浴露天風呂は全国的に有名で、4種類の異なる泉質(含硫黄ナトリウム塩化物泉・炭酸水素塩泉・含鉄塩化物泉・単純硫化水素泉)を持っています。萱葺き屋根の本陣に泊まれる宿泊プランは11,700円〜24,350円(一泊二食付き)で、和室に布団を敷いて過ごす昔ながらのスタイル。予約は電話(0187-46-2139)のみ受付で、夏場は2〜3ヶ月前から埋まり始めるため早めの手配が必要でしょう。
日帰り入浴も可能ですが、月曜日は露天風呂が清掃のため利用できない点に注意してください。アクセスはJR田沢湖駅から羽後交通バスで約50分、「乳頭温泉」下車後徒歩5分です。駐車場は無料で約50台分が確保されています。
妙乃湯温泉(宿泊料金15,000円〜22,000円)
妙乃湯温泉は先達川沿いに建つモダンな和風旅館で、女性に人気の高い宿です。金の湯(含鉄ナトリウム塩化物泉)と銀の湯(単純温泉)の2つの泉質を楽しめる混浴露天風呂があり、夕食には秋田の郷土食材を使った創作料理が並びます。チェックインは15時、チェックアウトは10時。予約は公式サイトまたは電話で受け付けています。
銀山温泉(山形県)大正ロマンの町並みと宿泊ガイド

銀山温泉は山形県尾花沢市に位置し、銀山川の両岸に大正〜昭和初期の木造旅館が軒を連ねるノスタルジックな温泉街です。夜になるとガス灯が灯り、石畳の路地が幻想的な雰囲気に包まれます。NHK連続テレビ小説「おしん」のロケ地としても知られ、国内外から年間約30万人が訪れる人気スポットです。
銀山温泉の主要旅館と料金目安
銀山温泉には約13軒の旅館・ホテルがあり、宿泊料金は1泊2食付きで15,000円〜50,000円と幅広い価格帯です。人気の能登屋旅館は築100年以上の木造建築で、国の登録有形文化財に指定されている貴重な宿。仙峡の宿銀山荘は銀山温泉の中では比較的大型の施設で、露天風呂付き客室も選べます。いずれも夏場は予約が取りにくいため、3ヶ月前からの計画を推奨します。
泉質は含食塩硫化水素泉で、肌にしっとりとした感触が特徴。源泉温度は約60度と高めのため、加水して適温に調整されています。アクセスはJR大石田駅から路線バスで約40分(はながさバス銀山温泉行き)。駐車場は温泉街入り口に共同駐車場(無料・約40台)があり、そこから温泉街へは徒歩5分ほどの距離です。
蔵王温泉(山形県)200人収容の大露天風呂

蔵王温泉は開湯1,900年の歴史を誇る山形県屈指の温泉地で、強酸性の硫黄泉(pH1.25〜1.9)が特徴です。冬はスキーリゾートとして賑わいますが、夏は避暑地として涼しい気候の中で温泉を堪能できます。標高約880mに位置するため、8月でも平均気温は22度〜24度前後でしょう。
蔵王温泉大露天風呂(入浴料850円)
蔵王温泉大露天風呂は渓流沿いの自然の中に設けられた男女約200人が入浴できる大規模な露天風呂です。2026年夏の営業時間は平日9:30〜17:00(最終受付16:30)、土日祝9:30〜18:00(最終受付17:30)。入浴料は大人850円、子ども400円(1歳以上12歳未満)と手頃な料金設定です。6月〜10月上旬には夜間の特別営業も実施されており、星空の下で源泉かけ流しの露天風呂を楽しめます。
アクセスは山形自動車道の山形蔵王ICから車で約40分、またはJR山形駅から蔵王温泉行きバスで約45分。温泉街には食事処や土産店が約20軒あり、名物の「稲花餅」(いがもち・1個150円〜)やジンギスカンが楽しめます。宿泊料金は旅館タイプで8,000円〜25,000円程度、ペンションやゲストハウスなら5,000円〜10,000円程度の選択肢もあります。
酸ヶ湯温泉と高湯温泉の泉質比較

東北の秘湯をめぐる旅では、青森県の酸ヶ湯温泉と福島県の高湯温泉も外せない存在です。いずれも「日本秘湯を守る会」に加盟しており、源泉かけ流しにこだわった本格的な湯治場の雰囲気を色濃く残しています。
酸ヶ湯温泉(青森県・宿泊料金9,000円〜18,000円)
酸ヶ湯温泉は八甲田山の麓、標高約900mに位置する一軒宿で、昭和29年に「国民保養温泉地第一号」に指定された歴史ある施設です。名物の「ヒバ千人風呂」は160畳(約264平方メートル)の広大な混浴大浴場で、総ヒバ造りの浴室には4つの異なる浴槽が並んでいます。泉質は酸性含む鉄・硫黄の泉質(pH約1.7)で、皮膚疾患やリウマチに効能があるとされています。
アクセスはJR青森駅からJRバス十和田湖行きで約70分。日帰り入浴は大人1,000円、宿泊は一泊二食付き9,000円〜18,000円です。夏場は八甲田ロープウェーで高山植物の観賞も楽しめるため、温泉と観光を組み合わせたプランがおすすめでしょう。
高湯温泉(福島県・宿泊料金12,000円〜30,000円)
高湯温泉は福島市郊外の標高約750mに位置し、「東北の草津」と称される濁り湯の名湯です。蔵王高湯・白布高湯とともに「奥羽三高湯」に数えられ、9ヶ所の自然湧出源泉はすべて源泉かけ流し。泉質は含硫黄カルシウム硫酸塩泉(pH約2.7)で、乳白色のにごり湯が特徴です。温泉街には6軒の旅館と1軒の共同浴場「あったか湯」(入浴料250円)があり、静かな環境でゆったりと湯治を楽しめます。
代表的な宿玉子湯は明治元年創業の老舗旅館で、茅葺き屋根の湯小屋が名物。宿泊は朝食・夕食付きで12,000円〜30,000円です。アクセスはJR福島駅から路線バスで約40分。東北自動車道の福島西ICからは車で約20分です。
| 温泉名 | 所在地 | 泉質 | pH | 宿泊料金目安 | 日帰り料金 |
|---|---|---|---|---|---|
| 鶴の湯 | 秋田県仙北市 | 含硫黄ナトリウム塩化物泉 | 約6.5 | 11,700円〜 | 700円 |
| 銀山温泉 | 山形県尾花沢市 | 含食塩硫化水素泉 | 約6.8 | 15,000円〜 | 500円〜 |
| 蔵王温泉 | 山形県山形市 | 強酸性硫黄泉 | 1.25〜1.9 | 8,000円〜 | 850円 |
| 酸ヶ湯温泉 | 青森県青森市 | 酸性含鉄硫黄泉 | 約1.7 | 9,000円〜 | 1,000円 |
| 高湯温泉 | 福島県福島市 | 含硫黄カルシウム硫酸塩泉 | 約2.7 | 12,000円〜 | 250円 |
東北秘湯めぐりモデルコースとアクセス
東北の秘湯を効率よくめぐるなら、2泊3日のプランがおすすめです。新幹線と路線バスを組み合わせれば車がなくても移動可能ですが、各温泉地間の距離を考慮すると、レンタカーのほうが自由度は格段に上がります。
2泊3日モデルコース(車利用)
| 日程 | 行程 | 宿泊地 |
|---|---|---|
| 1日目 | 仙台空港→蔵王温泉(車約1時間40分)→大露天風呂→温泉街散策・食事 | 蔵王温泉 |
| 2日目 | 蔵王→銀山温泉(車約1時間30分)→町並み散策→大石田そば街道で昼食→乳頭温泉郷(車約2時間30分) | 乳頭温泉郷 |
| 3日目 | 乳頭温泉湯めぐり→田沢湖観光→角館武家屋敷→秋田空港or仙台空港 | 帰路 |
レンタカーは仙台空港で1日あたり5,000円〜8,000円が相場で、高速道路料金は蔵王〜銀山温泉間で約2,500円、銀山温泉〜乳頭温泉間で約3,800円程度です。東北自動車道と山形自動車道のICから各温泉地へは30分〜1時間で到着できるでしょう。ガソリン代を含めた総交通費は2泊3日で約15,000円〜20,000円が目安です。
よくある質問
Q. 東北の秘湯は夏でも涼しいですか?
A. 標高800m以上に位置する温泉地が多く、8月でも平均気温は22度〜25度前後です。乳頭温泉郷や酸ヶ湯温泉は朝晩15度前後まで冷え込むことがあるため、薄手の長袖を1枚持参すると快適に過ごせるでしょう。
Q. 混浴の温泉が多いと聞きましたが、女性でも入りやすいですか?
A. 鶴の湯や酸ヶ湯の混浴浴場では、専用のバスタオルや湯あみ着の着用が認められています。女性専用の時間帯を設けている施設もあるため、事前に公式サイトで入浴ルールを確認することをおすすめします。
Q. 銀山温泉の予約はどれくらい前に取るべきですか?
A. 特に人気の能登屋旅館や古勢起屋別館は、夏場(7月〜9月)の週末分が3〜4ヶ月前に満室になることがあります。平日であれば1〜2ヶ月前でも空室が見つかるケースがあるため、柔軟なスケジュールを組むのが得策です。
Q. 蔵王温泉大露天風呂の2026年夏の営業期間は?
A. 2026年は5月下旬〜10月上旬の営業予定です。平日は9:30〜17:00、土日祝は9:30〜18:00で、6月〜10月には夜間特別営業も実施されます。入浴料は大人850円、子ども400円です。
Q. 東北秘湯めぐりの交通手段は車が必須ですか?
A. 乳頭温泉や蔵王温泉はバスでもアクセス可能ですが、温泉地間の移動を考えるとレンタカーが便利です。仙台空港や盛岡駅でレンタカーを借りると、1日5,000円〜8,000円で利用できます。
Q. 酸ヶ湯温泉のヒバ千人風呂は本当に広いですか?
A. 160畳(約264平方メートル)の総ヒバ造り浴室に4つの浴槽が並んでおり、「千人が同時に入れる」と形容されるほどの広さです。混浴ですが、女性専用時間帯(8:00〜9:00、20:00〜21:00)も設けられています。
Q. 夏の東北秘湯旅行で持っていくべきものは?
A. 薄手の長袖(朝晩の冷え込み対策)、虫除けスプレー(山間部の宿では蚊が出ることがあります)、現金(カード非対応の施設が多いため)、濡れた衣類用のビニール袋が必需品です。
Q. 高湯温泉の共同浴場「あったか湯」は予約が必要ですか?
A. 予約不要で、営業時間内であれば入浴料250円で利用できます。営業時間は9:00〜21:00(最終受付20:30)で、年中無休です。こぢんまりとした施設ですが、源泉かけ流しの乳白色の湯を堪能できます。
この夏、東北の秘湯で心と体をリフレッシュしよう
東北の秘湯はいずれも都市部から日帰りが難しい距離にありますが、そのぶん到着したときの「非日常感」は格別です。乳頭温泉郷のブナ林に囲まれた乳白色の露天風呂、銀山温泉のガス灯が灯る大正ロマンの町並み、蔵王の200人が入れる大露天風呂。いずれも一生に一度は訪れたい名湯ばかりでしょう。
2026年の夏は避暑を兼ねた温泉旅行の絶好のチャンスです。人気の宿は夏前から予約が埋まり始めるため、旅程が決まったら早めに手配を進めてください。現地では冷感ネッククーラーや虫除けスプレー、そして何より現金を忘れずに。東北の秘湯で過ごす時間が、夏の最高の思い出になるはずです。












