石川県の温泉と聞くと、加賀温泉郷や和倉温泉の大きな旅館を思い浮かべる人が多いかもしれません。ところが実は、どの温泉地にも地元の人が毎日通う「総湯(そうゆ)」と呼ばれる共同浴場があり、500円前後で本物の源泉に浸かれるのをご存じでしょうか。北陸新幹線が2024年3月に加賀温泉駅まで延伸したことで、首都圏や金沢から日帰りで湯めぐりをする人も増えています。
ただ、総湯は温泉地ごとに料金や営業時間、石けんの使用可否まで違い、事前に知らないと「洗い場がなかった」「タオルを買う羽目になった」と戸惑うこともあります。
この記事でわかること
- 山代・山中・片山津・和倉の総湯の料金と営業時間
- 明治の湯を復元した古総湯など、温泉地ごとの見どころと泉質
- 加賀温泉駅・金沢駅からのアクセスと1日湯めぐりコース
- 総湯ならではのマナーと、持っていくと便利なもの
- 石川の日帰り温泉でよくある質問への回答
石川の日帰り温泉は「総湯」めぐりが基本|料金早見表
総湯とは、温泉地の中心に置かれた共同浴場のことです。古くから温泉街は総湯を囲むように旅館や商店が建ち並ぶ「湯の曲輪(がわ)」という町並みで形づくられてきました。まずは主な総湯の料金と営業時間を比較します(2026年9月時点の公式・観光協会の公開情報より)。
| 施設名 | 大人料金 | 営業時間 | 泉質 |
|---|---|---|---|
| 山代温泉 総湯 | 500円 | 6:00〜22:00(第4水曜は12:00から) | ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物泉 |
| 山代温泉 古総湯 | 700円(総湯との共通券1,000円) | 6:00〜22:00(第4水曜は12:00から) | 同上 |
| 山中温泉 総湯 菊の湯 | 490円 | 施設の公式案内を確認 | カルシウム・ナトリウム-硫酸塩泉 |
| 片山津温泉 総湯 | 500円 | 6:00〜22:00 | ナトリウム・カルシウム-塩化物泉 |
| 和倉温泉 総湯 | 490円 | 7:00〜20:00台(時期により変動) | ナトリウム・カルシウム-塩化物泉 |
どの総湯も大人490〜700円の範囲に収まるため、2〜3か所めぐっても1,500円前後で済みます。子ども料金は小学生で130〜280円程度と、家族で訪れても負担が小さいのも魅力です。
加賀温泉郷(山代・山中・片山津)の宿を探す
総湯めぐりで気に入った温泉地が見つかったら、旅館に泊まって夜の湯の曲輪を歩く旅に広げてみませんか。曜日ごとの料金を比べてみましょう。
山代温泉は総湯と古総湯のはしごが楽しい
加賀温泉郷の中でも最も規模の大きい山代温泉は、約1300年の歴史があると伝わる温泉地です。中心の広場を挟んで「総湯」と「古総湯」が向かい合っていて、両方をめぐる共通券(大人1,000円)が用意されています。
古総湯は明治時代の湯を再現した非日常空間
古総湯は明治時代の総湯を復元した建物で、九谷焼のタイルやステンドグラスに彩られた浴室に足を踏み入れると、まるでタイムスリップしたような感覚になります。当時の入浴スタイルを再現しているため洗い場がなく、石けんやシャンプーは使えません。体を洗いたい人は先に隣の総湯で済ませてから古総湯へ移る順番が効率的です。2階の休憩室から湯の曲輪を見下ろす眺めも、写真好きの人には見逃せないポイントです。
総湯は地元の人も通う日常の湯
総湯は洗い場のある一般的な浴場で、朝6時から開いています。早朝に行くと地元の常連さんが静かに湯を楽しんでいて、観光地とは違う温泉街の素顔が見えてきます。周辺には北大路魯山人が滞在した「魯山人寓居跡 いろは草庵」もあり、湯上がりの散策先にぴったりです。
湯上がりに味わいたい加賀の名物
現地で湯めぐりをしていると、湯上がりのひと休みも楽しみのひとつになります。山代温泉の広場周辺には、源泉でつくる温泉たまごや加賀棒茶のスイーツを出す店があり、軽い食事にちょうどよい量です。冬の北陸らしい料理を味わいたいなら、11月以降に解禁される香箱ガニや加賀の郷土料理・治部煮を出す食事処を昼食の候補に入れておくと、季節ならではの一皿に出会えます。
山中温泉・片山津温泉・和倉温泉の日帰り総湯
山中温泉 総湯 菊の湯:鶴仙渓の散策とセットで
山中温泉は、松尾芭蕉が「山中や菊はたおらぬ湯の匂」と詠んだことで知られる温泉地です。総湯 菊の湯の大人料金は490円。湯上がりには大聖寺川沿いの渓谷「鶴仙渓」を歩き、総ひのき造りの「こおろぎ橋」まで足を延ばすのが定番です。遊歩道は約1.3kmあり、秋には紅葉が渓谷を彩ります。
片山津温泉 総湯:柴山潟を望む建築美
片山津温泉は柴山潟のほとりに広がる温泉地で、総湯は建築家・谷口吉生氏の設計によるガラス張りの建物です。浴室は「潟の湯」と「森の湯」の2種類があり、男女が日替わりで入れ替わる仕組みです。潟の湯の大きな窓からは湖面と、晴れた日には遠く白山まで見渡せ、実際に湯船に浸かると露天風呂にいるかのような開放感があります。料金は大人500円、営業は6:00〜22:00で、併設のカフェ(木曜定休)で湯上がりに一息つけます。塩分の強い塩化物泉なので、湯冷めしにくいのが特長です。
和倉温泉 総湯:能登の海辺で塩の湯に浸かる
能登半島の七尾湾に面した和倉温泉は、2024年1月の能登半島地震で大きな被害を受けましたが、総湯は同年3月に営業を再開し、復興に向かう温泉街の拠点になっています。料金は大人490円、小学生130円で、タオルは有料(250円)となっています。旅館の再開状況は時期によって変わるため、日帰りで訪れる前に和倉温泉観光協会の公式サイトで最新情報を確認すると安心です。
泉質の違いと効能の目安
加賀温泉郷と和倉温泉の多くは塩化物泉や硫酸塩泉で、施設の掲示では冷え性や切り傷、神経痛などが適応症として挙げられています。塩化物泉は肌の表面に塩分が残り、湯上がり後も体が温まった状態が続きやすいのが特徴です。効能は個人差があるため、持病のある人は医師に相談してから入浴しましょう。
石川の日帰り温泉へのアクセスと1日湯めぐりコース
加賀温泉郷の玄関口は北陸新幹線の加賀温泉駅です。駅からは周遊バス「CANBUS(キャン・バス)」や路線バスで各温泉地へ向かえます。車の場合、加賀温泉駅から山代温泉・片山津温泉まではそれぞれ約10〜15分、山中温泉までは約25分が目安です。和倉温泉へは金沢駅からJR七尾線の特急で約1時間、和倉温泉駅からバスやタクシーで温泉街へ移動します。
| 時刻 | 行程 | ポイント |
|---|---|---|
| 9:30 | 加賀温泉駅に到着 | バスの1日乗車券を購入 |
| 10:00 | 片山津温泉 総湯 | 柴山潟を眺めて朝の一湯 |
| 12:00 | 山代温泉で昼食・散策 | 湯の曲輪といろは草庵を見学 |
| 13:30 | 山代温泉 総湯→古総湯 | 共通券1,000円でお得にはしご |
| 15:30 | 山中温泉・鶴仙渓散策 | こおろぎ橋まで歩く |
| 17:00 | 山中温泉 総湯 菊の湯 | 歩いた後の仕上げの湯 |
3温泉地の総湯を4か所めぐっても入浴料は合計2,490円ほどです。ただし1日に4回入浴すると体力を使うため、各施設での入浴は10分前後にして、間に散策や休憩をはさむと最後まで快適に楽しめます。
入浴マナーと持っていくと便利な持ち物

総湯は地元の人の生活の場でもあるため、配慮が欠かせません。観光客もマナーを守ることで、気持ちよく湯を分け合えます。
- 湯船に入る前にかけ湯をする
- タオルを湯船に入れない
- 古総湯では石けん・シャンプーを使わない
- 脱衣所に上がる前に体の水気をふき取る
コンパクトな速乾タオル
総湯のタオルは有料のことが多いため、速乾性のマイクロファイバータオルを持参すると費用も荷物も抑えられるでしょう。(楽天市場で速乾タオルを見る)はしご湯の合間でも乾きやすいのが利点です。
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防水の温泉バッグ
バス移動で湯めぐりをする場合、濡れたタオルを入れられる防水の温泉バッグがあると周囲を濡らさずに済みます。(楽天市場で温泉バッグを見る)
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ミニサイズの保湿ケアセット
塩化物泉は肌に塩分の膜が残り保温効果が続く一方、乾燥を感じる人も少なくありません。トラベル用の化粧水・乳液セットを入れておくと湯上がりすぐにケアできます。
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よくある質問

Q1. 総湯にシャンプーや石けんは置いてありますか?
施設によって異なるため注意が必要です。山代温泉の古総湯は洗い場自体がなく、石けん類は使えません。それ以外の総湯でも備え付けがない場合があるため、ミニボトルを持参すると安心です。
Q2. 金沢から日帰りで行きやすい温泉地はどこですか?
北陸新幹線で金沢駅から加賀温泉駅までは最速で約20分なので、加賀温泉郷の山代・片山津・山中が行きやすい候補です。和倉温泉は特急で約1時間かかるため、時間に余裕のある日に向いています。
Q3. 子ども連れでも総湯を利用できますか?
利用できます。小学生の料金は130〜280円程度と手頃です。ただし湯温が高めの浴槽もあるため、子どもは短時間で上がらせ、こまめに水分補給をさせましょう。
Q4. 旅館の日帰り入浴は利用できますか?
加賀温泉郷では、日帰り入浴を受け付けている旅館があります。受付時間は昼過ぎから夕方までが多く、宿泊客の状況で休止する日もあるため、当日に電話で確認するのが確実です。
Q5. 冬に訪れる場合の注意点はありますか?
北陸の冬は雪が多く、車で行く場合はスタッドレスタイヤが必須です。新幹線と路線バスを組み合わせれば、雪道の運転をせずに湯めぐりを楽しめます。
Q6. 和倉温泉は今でも日帰りで楽しめますか?
総湯は2024年3月から営業を再開しています。ただし周辺施設や旅館の営業状況は変化しているため、訪問前に観光協会の公式サイトで最新情報を確認してください。
少ない予算で湯の町の素顔に触れよう

石川の日帰り温泉は、総湯を軸に計画を立てると、少ない予算で温泉街の歴史や暮らしまで感じ取れる旅になります。明治の湯を再現した山代の古総湯、芭蕉ゆかりの山中、湖畔の建築美が光る片山津、復興に歩む和倉と、それぞれの湯に物語があります。
まずは加賀温泉駅を起点に、2〜3か所の総湯をめぐる計画から始めてみてください。湯めぐりで気に入った温泉地が見つかったら、次は旅館の一泊二食の宿泊プランを使って、客室の露天風呂や夕食の会席料理とあわせて夜の湯の曲輪を歩く旅を組み立ててみましょう。石川の温泉の奥深さを、日帰りとはまた違う角度から味わえるでしょう。











